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本当にタイパいい? 「儲け話」があなたの貴重な時間を奪う理由

授業、サークル、バイト......いつも「タイパ」を意識しているあなたが、なぜかお金のことになると時間を無駄にしていませんか? SNSで「〇〇するだけで月〇万円」といった広告を見かけませんか? 友人に「いい話があるんだけど」と誘われたことは?

こうしたうまい話は、一見すると最高の時短に見えます。しかし、あなたの最も貴重な資産である「時間」と「未来の可能性」を奪い、大きな損失につながるリスクをはらんでいます。

この記事では、なぜ怪しい儲け話がタイパ最悪なのか、そして学生時代に時間を費やすべき自己投資とは何かを解説します。

「楽して稼ぐ」は時間の無駄

「タイパがいいから」と、儲け話に惹かれる気持ちは分かります。しかし、実はそれこそが、タイパとは真逆の選択なのです。

儲け話に使う1時間で失う「3つの資産」

怪しい儲け話に費やす時間は、ただの消費ではありません。そのわずかな時間で、あなたの未来を豊かにするはずだった「3つの資産」が失われていきます。

1. 未来の可能性という「無形の資産」
学生時代の1時間は、スキルや知識を蓄え、「稼ぐ力」を育てるための貴重な投資をするための時間です。その1時間を儲け話に費やすことは、将来に向けた自己成長の機会を失うことにつながります。

2. 信頼という「人間関係の資産」
「いい話がある」と1時間かけて友人を勧誘する。その瞬間、「友人」から「勧誘してくる人」に変わります。たった1時間で、友人との関係に修復困難な亀裂を生じさせ、信頼という貴重な人間関係を失う可能性があります。

3. 本来得られたはずの「金銭的資産」
その1時間、時給1,200円のアルバイトをすれば、確実に1,200円が手に入ります。儲け話は、この「確実な収入を得る機会」を捨てさせる行為です。1時間という短いスパンで見ても、あなたは資産(お金)を得るチャンスを失っているのです。

時給換算したらマイナス? 見えないコストの正体

先ほどは「1時間」というごく短い単位で見ましたが、現実はそれだけでは終わりません。怪しい儲け話は、一度足を踏み入れると、情報収集や説明会、勧誘活動などで、気づけば膨大な時間を奪っていきます。

実際に、SNSの儲け話に関わってしまった場合、どれだけの「見えないコスト」が発生するのでしょうか。よくあるケースを想定した架空のシミュレーションで一例を見てみましょう。

行動 費やした時間 リターン・損失 備考
SNSでの情報収集 10時間 0円 時間の浪費
説明会・セミナー参加 3時間 数千円〜数万円の損失 交通費、資料代、場合によっては入会金の一部など
友人への勧誘・説得 20時間 0円 人間関係の悪化(信用失墜)、心理的負担
初期費用支払い 0時間 数十万円〜数百万円の損失 商材購入、投資金など

この33時間もの時間の浪費に加え、場合によっては数十万円〜数百万円の高額な損失につながるかもしれません。さらに友人からの信用を失うリスクも負うのです。

もし同様の時間と労力を時給1,200円の堅実なアルバイトに使っていれば、確実に39,600円を稼げていました。

怪しい儲け話に時間を奪われる人の共通点

「自分は絶対に騙されない」と思っていても、心の隙を突かれると誰でも時間を無駄にしてしまう可能性があります。実際に、怪しい儲け話に巻き込まれやすい人には、いくつかの共通した心理傾向があります。

「すぐ結果が欲しい」という焦り

SNSを開けば、同世代が華やかな生活を送っているように見えます。「自分も早く成功したい」「周りに遅れを取りたくない」と焦るあまり、冷静な判断ができなくなる人は少なくありません。不適切な勧誘者はその焦りに目をつけ、「これならすぐに稼げる」と甘い言葉で誘惑してきます。

「自分だけは特別」という根拠のない自信

「他の人は騙されるかもしれないけど、自分は大丈夫」「この話の価値に気づけた自分は賢い」と思い込んでしまうと危険です。こうした思い込みは「正常性バイアス」と呼ばれる心理的な偏りによるもので、自分にとって都合の悪い事実を無視してしまいがちです。結果として、怪しい話に対する違和感を無視し、気づいたときには多くの時間と労力を奪われているケースもあります。

未来が変わる! 学生時代に費やすべき自己投資3選

怪しい儲け話に時間を費やすくらいなら、将来、何倍にもなって返ってくる「自己投資」に目を向けてみましょう。これこそが、人生における正しいタイパ戦略です。

1. 専門スキルや語学など「稼ぐ力」に直結する学び

学生時代に身につけたスキルは将来の時給を大きく左右します。例えば、プログラミングを習得すれば、高単価の案件を受けられるようになります。語学力を伸ばせば、外資系企業や海外取引のチャンスが広がります。アルバイトで得た収入をスクールや教材への投資に回すことは、未来の自分への最高のプレゼントです。

2. 視野が広がる「旅」や「読書」の経験

一見、収入につながらないように思える体験こそ大きな価値をもたらします。海外を旅すれば、文化や価値観の違いを肌で感じ、柔軟な思考や問題解決力が育まれます。読書を習慣にすれば、偉人や経営者の思考に触れ、物事を多角的に捉える力が磨かれます。こうした経験が人生の選択肢と解像度を高めてくれるのです。

3. 利害関係のない「本物の人脈」づくり

マルチ商法のような打算的なつながりではなく、利害を超えた純粋な人間関係こそが一生の財産になります。サークルやゼミなどで目標を共有できる仲間や尊敬できる先生、あるいはボランティア活動などで出会う多様な人々とのつながりは、将来の選択に影響を与えるだけでなく、困ったときに助けてくれる存在にもなります。相手に貢献する姿勢で築いた関係こそ、かけがえのないセーフティーネットになります。

目先の小さな利益より、未来への大きな投資を選ぼう

マルチ商法や情報商材詐欺、投資詐欺など、金融犯罪は、常に巧妙な手口であなたの身近に潜んでいます。しかし、「タイパが悪い儲け話」の構造を理解していれば、もう安易に惑わされることはないはずです。

あなたの時間は限られており、その使い方ひとつで未来は大きく変わります。目先の小さな利益に飛びつくのではなく、10年後の自分が「あのとき頑張ってよかった」と思えるような未来への投資を選びましょう。一つひとつの賢い選択こそが、あなたの人生を切り拓く最強の力になります。