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未来を描き、老後への不安を希望に変える|ワクワク始める資産形成

老後のことを考えると、つい「節約しないと」「我慢しないと」と暗い気持ちになっていませんか?そのように感じる必要はもうありません。この記事が提案するのは、ワクワクする「理想の未来」を描くことから始める、前向きな老後資金準備のアプローチです。

ゴールがハッキリすれば、今の行動も自然と決まります。将来への漠然とした不安からではなく、心躍る希望から始める未来計画を、3つのステップで一緒に作っていきましょう。

【STEP1:未来を描く】まずは「理想のセカンドライフ」を想像しよう

第一歩は、お金の計算ではありません。まずは、あなたがどんなセカンドライフを送りたいか、自由に、そして具体的に想像することです。

どんな場所で、誰と、何をして過ごしたい?

目を閉じて、65歳になった自分を思い浮かべてみてください。そこにはどんな毎日が広がっていますか?

場所:
今の家に住み続ける?自然豊かな地方へ移住?それとも、暖かい海外?

誰と:
パートナーとふたりで?子どもや孫と賑やかに?気の合う仲間と?

過ごし方:
・年に一度は豪華な海外旅行へ行く
・家庭菜園で採れた野菜で料理を楽しむ
・地域のカフェで週3日だけ働く
・大学院に通い直し、若い頃からの夢だった研究に没頭する
・毎月、夫婦で観劇やコンサートに出かける

このように、できるだけ具体的に書き出してみるのがポイントです。この「理想の未来像」こそが、あなたの資産形成計画の原動力になります。

理想の暮らしは、月々いくらあれば実現できる?

理想の未来像が見えてきたら、次はその暮らしに月々いくら必要か、ざっくりと計算してみましょう。難しく考える必要はありません。まずは現在の生活費を把握し、それに「理想の暮らし」で新たに加わる費用(例:旅行費用、趣味への投資額など)や、変動する項目(例:食費の外食比率変更など)を想像して加算していくと、より具体的に見えてきます。現在の支出データがあれば、それを基に各項目を調整してみましょう。

【理想のセカンドライフ 夫婦二人暮らしの月間支出シミュレーション(例)】

住居費: 30,000円(住宅ローン完済後の固定資産税など)
食費: 60,000円(少し良い食材で、外食も楽しむ)
水道光熱費・通信費: 30,000円
交通費: 10,000円
趣味・娯楽費: 50,000円(旅行積立、習い事、観劇など)
交際費: 20,000円(友人とのランチ、孫へのお小遣い)
保険・医療費: 20,000円
その他雑費: 30,000円

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合計:250,000円

この例では、月に25万円あれば理想の暮らしが送れそうだとわかりました。これがあなたのゴール(目標金額)です。

【STEP2:現在地を知る】国からもらえる「公的年金」を確認しよう

ゴールが決まったら、次は現在地を確認します。あなたの老後生活の土台となる、国からもらえる「公的年金」の受給額を把握しましょう。

「公的年金」という名の基本給をチェック

公的年金は、いわば国から支給される「老後の基本給」です。この金額を知らずに計画を立てるのは、自分の給料を知らずに生活するようなもの。まずはこの基本給がいくらなのかを正確に把握することが重要です。

確認方法はとても簡単です。「ねんきん定期便」(毎年誕生月に送られてくるハガキや封書)を見るか、いつでも最新の情報を確認できる「ねんきんネット」に登録しましょう。スマートフォンやパソコンから登録でき、将来の年金見込額を手軽にシミュレーションできます。

「理想の生活費」と「基本給」の差額はいくら?

現在地が確認できたら、ゴールとの差額を計算します。この差額こそ、あなたがこれから準備すべき資産の目安です。

例えば、理想の生活費が月25万円で、公的年金(基本給)が月15万円だった場合、

25万円 - 15万円 = 10万円

となり、毎月10万円が不足することがわかります。

【STEP3:計画を立てる】未来の資金を準備しよう

ゴールと現在地、そして準備すべき差額が明確になりました。いよいよ、その差額をどうやって準備するかの計画を立てていきましょう。

足りない分は「お得な制度」で準備するのが新常識

「月10万円を貯金するのは大変......」と感じたかもしれません。でも、ご安心ください。ただ銀行に預けておくだけではなく、国が用意してくれたお得な制度を活用することで、より効率的に老後資金を準備できます。

毎月いくらずつ?ゴールから逆算すれば、無理のない金額が見えてくる

先ほどの例(毎月10万円不足)で、必要な資金の総額を計算してみましょう。

月10万円 × 12ヵ月 × 25年間(65歳~90歳)= 3,000万円

この3,000万円を、例えば30歳から65歳までの35年間(420ヵ月)で準備する場合、単純に貯金するなら、月々約7.1万円が必要です。

しかし、もし年利4%といった目標利回りでの運用を前提に準備できれば、月々の積立額は約3.3万円にまで抑えられます。これは「お金にも働いてもらう」ことの大きなメリットですが、投資には元本割れのリスクや、必ずしも目標通りの運用成果が得られない可能性も存在します。この点を理解した上で、ご自身の許容できるリスクレベルに応じた資産形成を計画することが大切です。

初心者の強い味方「NISA」と「iDeCo」

老後の資産準備を支える二本柱が、「NISA」と「iDeCo(イデコ)」です。どちらも、投資で得た利益に税金がかからないなど、うれしいメリットがあります。

NISA(少額投資非課税制度) iDeCo(個人型確定拠出年金)
主な目的 資産形成全般 老後資金の準備に特化
投資方法 毎月一定額を積み立てて、投資信託や株式などに投資 毎月一定額を積み立てて、投資信託や定期預金などに投資
非課税の内容 運用益が非課税 運用益が非課税+掛金が全額所得控除(税金が戻る)
引き出し いつでも可能 原則60歳まで引き出せない
特徴 ・金融庁が選定した投資信託中心の「つみたて投資枠」あり
・少額からコツコツ始めやすい
・柔軟に引き出せて初心者向け
・税制メリットが大きい
・老後資金づくりに向いている
・長期運用に適した制度
向いている人 気軽に始めたい人、投資に慣れたい人 節税しながら老後に備えたい人

どう使い分ければいい?

NISAとiDeCoは、どちらか一方を選ぶ必要はありません。自由に引き出せるNISAは「将来のために資産を育てながら、必要なときに使えるお金」をつくるのに便利です。ライフイベントへの備えや、使い道がまだ決まっていないお金の運用にも向いています。

一方、原則60歳まで引き出せないiDeCoは、老後資金専用の制度。掛金が全額所得控除の対象になるため、現役世代ほど節税効果が高くなります。例えば年収500万円の人が月2万円をiDeCoに積み立てた場合、所得税と住民税が計20%程度なら、年間約4〜5万円の税負担が軽減される可能性があります。

資金の使い道や引き出すタイミングにあわせて、2つをバランスよく活用するのがポイントです。まずは柔軟に使えるNISAをメインにし、老後資金としてiDeCoを少額から取り入れていくのもひとつの方法です。

未来に向けた地図があれば、今日の道に迷わない

老後資金の準備は、暗い顔で我慢を重ねる苦行ではありません。それは、あなたが思い描いた素晴らしいセカンドライフを実現するための、希望に満ちたプロジェクトです。

「理想の未来(ゴール)」を描き、「公的年金(現在地)」を知り、そして「老後資金」の準備を始める。この未来に向けた地図さえ手に入れれば、今日から何をすべきかが明確になり、日々の生活にもハリが生まれます。

漠然とした不安に終止符を打ち、ワクワクする資産形成を始めましょう。この計画が、あなたの未来をより確かなものにする第一歩となるはずです。